土地や建物(不動産)を所有する人には、毎年固定資産税が課税されます。固定資産税は、その不動産がある地方自治体がそれぞれに価値を計算して、納税通知を送付し課税する「賦課課税」です。
○建物と償却資産に課される税
固定資産は、毎年その価値が減少するという考えを元にして、まず課税評価額を算出し一定の税率を掛けて求めます。
各自治体で評価した不動産に対して1.4%の税率を掛けるのが一般的です。しかし、この1.4%は全国共通ではなく、自治体に依って変動する可能性があります。(実際にはおおむねこの税率で統一しているのが現状です)
●免税点
建物の取得は何も新築に限った事ではありません。近年は、中古住宅を取得してリノベーションを施したり、リフォームしたりして、住まいやすい環境を整えるというスタイルも多くなってきました。
中古住宅を取得する時には、ほとんどの場合が「住宅+土地」のセットで販売されています。資産価値として、土地には減価償却はありませんが、建物は経年数によってその価値が減少していきます。
中古住宅を取得した場合、建物の資産価値が低く、課税標準額が20万円を下回っている場合には課税されません。これを免税点と言います。
ちなみに土地の免税点は30万円です。
●課税標準額の決め方
新築ならば、その価値は償却されていない新品価値を定めなれければなりません。これを決めるのは市町村の担当者で、実地確認と図面から相対的に評価しますが、大筋は総務大臣の定める固定資産評価基準に沿って算出されます。
また、土地と異なり建物は「もし同じものを再度建築する時にはいくらかかるか」という再建築費(価格)を基準にして評価を決定する方法(再建築価格方式)を用いています。
○固定資産税評価額を知る
固定資産税評価額が決定すると、固定資産課税台帳に登録されます。万が一、その評価額に不服があれば審査の申し出をすることも可能ですが、一般的には購入価格よりも低く算定されるような仕組みが取られています。
その理由に、「建物は引き渡した時点から価値減少が始まる」という市場の動向があります。仮に新築住宅を購入しても、引き渡されて所有者が登記した時点で2~3割の価値減少が生じるのが市場の通例です。この価値減少を加味して一般的な市場価格よりも評価額は低くなるケースが多くなります。
決して、価値の低いものを高く購入したという訳ではありません。逆に課税評価のほうが実際の購入額よりも高かった場合は、非常にお得な条件で購入したという事になります。
○年4回の固定資産税納付を忘れずに
固定資産税は、所有する限り(建物は償却を終えるまで)毎年課税されます。年間数十万円の出費を想定して、毎月数万円ずつ計画的に貯蓄しておくのが良いでしょう。
土地・建物は3年ごとに評価を見直します。これは、経済的な変化に応じてその評価を時々で適正に判断するためです。決定した評価額に基づいて税額が算出されるので、以後三年間は据え置きます。その間に、道路事情や近隣の開発がおこなわれるなど利便性や地価の上昇があれば、3年後には評価額も上昇するかもしれないので、評価替えの年は必ず税額と固定資産税評価額を確認するようにしましょう。
【著 者 長 岡 利 和】