一戸建て住宅とマンション、生活スタイルや家族構成によって、毎日家の中で過ごす時間帯やニーズ、優先順位はそれぞれ異なってきます。
中でも、家族がこれから増える予定の住まいでは、構成人数が多い分、充分な収納を確保したいという思いをもっている人も少なくないでしょう。
収納と生活、そしてその収納を利用する家族、それぞれの条件に沿った使いやすい収納を考えてみます。
○家事目線での収納
毎日快適な生活をすっきりと整った環境で送ることができると、満足度も増します。生活をルーティンワークのように続けていると、ちょっとした無駄な動きや邪魔に感じる建具、家具の出っ張りに意識がいくようになります。
当たり前のように過ごしている環境でも、「この柱がもう少しこちらにあれば」「この扉の開閉方法が反対だったらよかったのに」「このデッドスペースをもっと有効に使いたかった」と言う風に、具体的な改善点が見つかってくるものです。
●イメージを存分に抱いて収納を想像する
水周りや浴室、洗濯と衣類の収納など、関連する家事ポイントがいくつかあります。これらのポイントは、一つにまとめてそのために使うものを収納できるスペースを備えておくと、効率が非常に上がります。
例えば、洗濯機と室内物干しスペース、衣類を収納するスペースが一連の家事動線にあれば、洗濯したものを持ち運ばずに室内干しし、渇いたらとなりの収納スペースにそのまま置くことができますね。洗濯機と衣類の保管が隣り合わせの場合、間取りによっては、湿気や湿度上昇によってカビが生えやすくなるので、換気や乾燥ツールを併用することが望ましいでしょう。
●主寝室から洗面所までの動線に収納を
主寝室の隣にウォークインクローゼット収納があり、その先の反対扉を開けた場所に洗面台を設置するという方法は、年頃の子どもがいる家族には非常に有効な間取りです。
収納兼通路としてウォークインクローゼットを使用すると、他の家族のあわただしい朝の動線を妨げない、バイパスのようなメリットがあります。
○収納と割り切らない
大型家具の保存やその他季節ものの入れ替えなど、大容量の収納があることにメリットを感じる人もいますが、実際にはその広い収納を、どのようにして上手に活かすかというイメージをもつことが大切です。
●収納にプラス要素を備えたものを利用
マイホームの収納を考えると、大きな納戸の容積にこだわる人は多いです。一目見しただけで、収納の容量が大きいことが分かれば、「それだけ安心」した気がするものです。ただ、大きくなればなるほど、その使い勝手は悪くスペース取ることになります。
実際にその場で使いそうなものを留めておくための収納は、必要以上に大きくなくても問題はないでしょう。すぐに使えるように出し入れがしやすいというだけでもメリットは大きくなります。
わざわざ住宅内のスペースを区切って収納を作る方法とは別に、可変式の大型家具収納で仕切りを作り、子どもそれぞれの勉強部屋を確保するという方法もあります。
作りつけの収納にこだわらず、スペースと必要量の収納を最大限に発揮できる為の設置場所がうまく配置できれば、使いやすくて満足度も高くなるでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】