住宅購入は、日常の家具調度品を買うような気軽なものではないという意識はだれもが抱いているでしょう。
しかし、マイホームを購入したあとは、審査が通ったマイホームローンを月々滞ることなく返済すれば、いずれは家に掛かるお金が不要になり、住む場所に掛かるコストは発生しなくなります。
家賃を支払うよりも、自分の所有物にしてしまったほうが老後の住まいが安心…このように思い立つのは将来を見据えた計画として必要な考え方ですが、問題はその支払い過程です。
○一度申し込んだマイホームローンを放置するのはNG
購入をするまでに、マイホームをどのような仕様にするか、またデザイン性や機能性をあれこれ考えて吟味するでしょう。
ただ、家そのものへのこだわりと同じように、マイホームに掛かるお金に就いても吟味することが大切です。
マイホーム資金は、購入前に貯めた頭金と、その後に数十年かけへ払い続けるローンを合算した金額ですね。ローンを組んだ部分の支払い額には、当然ですが金利が上乗せされています。
●マイホームを買った後に返済するお金を減らす
マイホームを買うために申し込みをした住宅ローン、これは完済期日まで支払いを続けることを前提にしていますが、なにもローンの返済方法通りに完済を迎えねばならない決まりなどありません。
例えば、ボーナスでまとまった貯金ができた、定期預金が満期を迎えた、という様に、お金に余力が生まれた時こそ、「繰り上げ返済」をして元金を減らすと、その後に支払う金利を大幅にカットすることができます。
●繰り上げ返済シミュレーション
3000万円の借入金に対して、保証料込みの金利1.7%、30年返済する元利均等方式の住宅ローンを申し込んでいると仮定します。購入後6年目までに100万円を貯めて繰り上げをすると、なんと利息が総額で51万円減、支払い期間も1年1カ月短縮されるのです。
繰り上げ返済のポイントは、借入から繰り上げまでは早ければ早いほど元金に対する利息を減らすことができる点です。
ただ、住宅ローン減税を受けている人は、繰り上げしすぎると減税対象から外れてしまう事もありますので、お金の流れとシミュレーションを慎重に検討しましょう。
○マイホームにかかるお金の総額を大幅カット
金融機関やモーゲージ、ネット銀行など、さまざまな機関が住宅購入資金ローンを取り扱っています。金融商品と併せてサービスを利用すれば、更に金利が低くなるというプランも多くなっている中で、現在借入をしているローンの見直しをしない手はありません。
●マイホームローンを借り換えてお得に
金融機関ごとに、また購入した時点の社会的情勢によって借入金利は変動します。購入後もこれらの情報を常にチェックしながら、いざという場合には思い切って借り換えを検討しましょう。
登記費用や手数料などを加算しても全体のローンに掛かるお金が大幅減少する可能性があるのは、「現在のローン金利より0.4%以上低いローンに借り換え」「返済期間残10年以上」「1000万円以上のローン残高」の人です。
一度購入してしまうと、毎月返済すべきお金にだけ注意が行きがちですが、マイホーム全体にしはらうお金をベースにして総額を計算し直すという作業は、購入後も都度行うようにしましょう。
当初の返済計画より、ぐっと支出を抑えられるかもしれません。
【著 者 長 岡 利 和】