日本では、近年非常に大きな地震が頻発しています。その地震頻度は世界的に見ても多いほうで、安心して過ごせるマイホームを作るために、耐震・制震・免震構造の家作りが非常に大切になります。
昨年4月に発生した九州熊本・大分の大地震は記憶に新しいですが、これまでに「地震リスクが低い」といわれ続けた場所でも、これほどの大きな地震が実際に起こり得ることがわかりました。
しかし、時間が経過すればそのリスクや危険性に対する意識も残念ながら薄れてきてしまいます。
地震に対する危機意識がまだ残っているタイミングで、実際の住宅の耐震性を知り、マイホームの地震対策強化を図るべきでしょう。
○住宅性の表示の等級
日本の住宅は、1981年に建築基準法が改正されたことを受けて、耐震性をどの程度求めるかという指標を等級にして示しています。
築年数から想定して、現存しているマンションやマイホームのほとんどは、改正後の新基準に沿って建設許可されているはずですが、この基準を満たすことで地震対策は万全かといわれれば、決してそうでもありません。
●マイホームの建築許可と住宅性能表示
あらゆる住宅を建設する際には(申請基準以下の狭小な建物は除く)、必ず建築許可を申請しなければなりません。構造的に十分な条件を満たしているかという判断をうけるもので、建築許可が通るかどうかが、建てても大丈夫な強さを備えている住宅か否かを知ることができるタイミングです。
申請後に軽微な変更があった場合、構造部分にかかわる変更ならば、改めて建築許可申請を出さねばなりません。構造計算は、素人が簡単に考えているほど単純なものではなく、マイホームやマンションが建てられるかどうかに大きくかかわります。
●耐震等級は満たすべきマイホームの強さ
建築基準法にある条件を満たしたマイホームならば、安心して住むことができる強さを十分に備えているだろう…と思われがちです。
耐震等級の1レベルは「建築基準法と同レベルの耐震強度」と「数百年に一度程度発生する地震力に対して倒壊・崩壊等しない程度」と定められています。
数百年に一度起こるかどうか、という地震にたいする備えをした耐震構造ならば万全だと考えるでしょう。しかし、ここ10数年の間に、関西・東日本・九州の各所で、数百年に一度程度発生する地震が実際に起こっているのです。
巨大な地震のおこるタイミングか重なったと安直に考えるべきではなく、認められる耐震構造物以上の強さを備えたマイホームにしておかねば、現実に即した耐震性能とは言えないということが理解できるでしょう。
●マイホームの構造を知っておきましょう
近年減税対象として注目されいているのが「長期優良住宅」です。長期優良住宅の住宅性能は等級レベル2以上、つまり「建築基準法の1.25倍以上の耐震強度」を備えながら「数百年に一度発生する地震力の1.25倍以上の力に耐えられる住宅」ということになります。
超大型地震のたびに、住宅倒壊とその後処理や、住む場所の確保など、生活基盤となる住まいの確保が重要な問題となります。地震に対する危機意識を常に持ちながら、地震に強く、さら少しでも気の休まるマイホームづくりを改めて考えるタイミングはまさに今でしょう。
【著 者 長 岡 利 和】