マイホームを手放すことになった場合、その住宅がいくらで売れたかによって、その年の収入が変わります。家を手放す時には、相応の譲渡所得が発生するでしょう。受け取った売却額は、年間収入に繰り入れなければなりません。
しかし、マイホームを手放すときにかかった費用などもあるでしょう。売れた額をそのまま収入とするのではなく、適正な譲渡所得を計算し、確定申告で所得申告する必要があります。
○不動産の譲渡と税金
土地や建物などの不動産を売却譲渡したときの税金は、給与所得や事業所得と異なり、「譲渡所得」区分で分けて申告を行います。手続きは確定申告で一括します。
●マイホームの居住期間で税金も変わる?
長く住んでいたマイホームを売却した時と、建ててほどなくの場合とでは、税率が異なります。計算の基準日は、マイホームを譲渡した年の1月1日です。
売却した年の初めを基準として、その土地建物を5年を超えて所有していた時は「長期譲渡所得(所得税15%・住民税5%)」、5年以下なら「短期譲渡所得(所得税30%・住民税9%)」の税率で計算します。
実際に住まい始めてから売却するまでの期間が5年を超えていたとしても、基準日から計算したら短期譲渡所得税率の適用期間だったという落とし穴には注意が必要です。
●マイホームの売却益と税金
マイホームを打った時に売却益が発生した時は、特別控除の特例によって税金を安くすることができます。短期・長期にかかわらず、譲渡益がある場合には、課税譲渡所得金額を計算する際に最高で3000万円の控除を受けることができます。3000万円に満たない場合は、譲渡所得の満額を控除することができます。
●マイホームの譲渡損失と税金
持ち家を売却して、売却益が必ず発生するとも限りません。マイホームの取得費が高い場合や、売却にかかる諸費用の額が大きかった時は、売って損失が発生することもあります。
損失が出た場合には、その損失を一年のみで計算するのではなく、「繰り越し控除」を受けることができます。一年間の収入と通算して控除しきれなかった損失があれば、翌年以降最大3年にわたって、各年の所得から損失を繰り越して差し引くことができる仕組みです。
また、売却した年の1月1日現在、5年を超えるマイホームで譲渡損失が発生したら、他の所得と「損益通算」することができます。譲渡した年の年間所得を減らすことができる仕組みです。
ここでは、マイホームを売却した際に起こる一般的な税金の内容を紹介しましたが、住む家をまた購入した時には、別途買い替え特例など、ほかにも受けられる控除があります。
税金を正しくお得に納付するために、また確定申告前に慌てないためにも、必要書類などをあらかじめ準備して、万全に備えましょう。
【著 者 長 岡 利 和】