マイホームを購入するときに、一番問題となるのは土地の確保と購入価格の設定でしょう。最近は、狭小住宅という言葉を聞いてマイナスイメージを抱く人も徐々に少なくなってきているように感じます。
以前は「小さな土地に無理をして家を建築している」という印象が強かった狭小住宅も、身の丈に合った、無理せず自分の家を手に入れる方法の一つとしてむしろ注目されているようです。
○住みやすい場所にマイホームを建てられる
「望んだ場所にマイホームを建築できるのが理想だけど、土地の価格が高くて…」という理由で、妥協して立地を選ぶという世帯が以前は多く見受けられました。
人気のある高価格地域であっても、購入地を狭くすれば購入可能であるならば、思い切って立地を優先してもいいでしょう。
購入したい土地のある場所の敷地面積と建ぺい率、容積率をあらかじめ調べておけば、狭い土地でも、3階建てにする、地下スペースを設けるなどの方法で、居住空間を広くすることもできるかもしれません。
一戸建てを立てるときには、庭を含めて相当の広さを確保しておかねばならないという先入観にとらわれずに、住みたいエリアで土地を探し、その土地に合わせて家のかたちを考えるという方法もいいでしょう。
○マイホームの住み心地がよければ後悔なし
広い家で、のびのびとゆとりを感じることがマイホームの快適さとは限りません。そこに住まう人の満足度を一番に考えて間取りの設計を行えば、快適性は広い家以上に得やすくなります。
隣近所と密接する土地の場合は、日当たりが気になるポイントですが、屋根に小窓をつけて最高を確保したり、トップライトやハイサイドライトを用いたり、窓やライトの工夫を施せば、プライバシーを確保しながら十分に明るい室内設計を実現することができます。
○マイホームの費用にも差が
狭小住宅を建てる場合、その土地の広さに合わせて注文住宅を依頼することになります。土地購入費用を手に届く範囲の価格で抑えることができるというのが、最大のメリットでしょう。施工面積が狭くなるため、建築許可などの申請費用や、登記費用もコストダウンすることができます。
自由で工夫を凝らしたマイホーム設計をすることで、コンパクトながら住まいやすく、オリジナリティのある家を作ることができます。メンテナンスコストや日々の手入れも楽になります。
立地条件は譲りたくない、という人には、無理な予算組みをせずに土地を購入して狭小住宅を建築するメリットは大きいでしょう。規制や法令制限に注意し、隣接する家とのプライバシーを考慮しなければなりませんが、後悔しない・満足度の高いマイホームづくりの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
【著 者 長 岡 利 和】