マイホーム頭金準備を他力に頼る場合

自分の城は自分で建てる!と意気込んで頭金の貯金を始めても、現実にはそう簡単に貯蓄が増えるはずもありません。毎日の生活費に加えて、マイホーム貯金がのしかかるとなれば、一体いつになったら家が建つのか?と貯蓄計画も難航する世帯もあるでしょう。
そんなときに、自分の力だけを想定せずに、親などから援助を受けて自己資金を準備するというのは一つの方法です。親から自己資金の援助を受けた場合、節税につながる効果が得られるかもしれないということをご存知ですか。

○親からマイホーム頭金を贈与
住宅の購入をするときに、親から頭金の援助をしてもらった…という話は、マイホーム購入をする世帯を通じてありがちな事例です。
自分たち家族だけで頭金が準備できる場合も、将来のことを長い目で見て多方面から考えると、自己資金の援助を受けたほうが、親にとって好都合かもしれないということもあります。

●頭金援助で贈与税の非課税枠拡大
相続税など、親子と不動産等相続財産が昨年から拡充されたことはご存知の人も多いでしょう。相続税基礎控除額の引き下げによって、不動産所有(土地・建物)をどのように勧めるべきか、多方面を見ながら親子援助を実践する世帯も増えています。
両親や祖父母から住宅購入資金を援助してもらうと、平成31年6月末までは、一定額までは相続税がかからないという特例があります。(基礎控除額の110万円プラス最高3000万円までの頭金→計3110万円までは、その年の贈与非課税…暦年課税)

●相続時に相続遺産として頭金を繰り入れ
また、相続時に清算を行うための相続時精算課税というものもありますが、これを利用すると相続時の贈与分を相続財産として加算して税計算を行うことになるだけでなく、これ以後は暦年の基礎控除110万円を受けることができなくなるので、相対的に考えて世帯の事情に即した選択をするように検討しましょう。

○マイホーム頭金を親から借金する場合
援助を受けて頭金を親から貰うなら、上記のように非課税枠を拡大させる効果もありますが、マイホーム購入後に順次親へ援助資金を返済していくときは、最大限の注意を払ってさらに契約書を取り交わしておくのがベストです。

●親からの頭金援助だからこそシビアに
他人から融資を受けるときは、契約書に返済期日や返済額の明記をするなど、キチンと清算に向けて必要事項を明らかにしておきますね。
子供(孫)が十分な返済能力を持っており、しっかりと指定口座に返済の記録があれば、れっきとした借入金契約として認められますが、一部返済が滞ったり返済原資が不透明な場合は、税務署側で贈与とみなされることもあります。親族への返済だからといういい加減な気持ちはNGです。
自分で頭金を貯めるには、節約意識と継続能力が必要です。どうしても頭金を作るのが難しければ、贈与・相続というワードをもとに身内の力を借りるとよいでしょう。ただ、プラス要因のいいことだけではないということもあらかじめ認識しておく必要があります。

【著  者   長 岡  利 和】


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