一戸建て住宅やマンションなど、購入物件のスタイルはいくつかありますが、いずれも購入に踏み切るまでに思い悩む「資金計画」を、きちんと滞りなく返済し続けていくことができるのかという「将来の不安」によって、二の足を踏んでしまいがちです。
資金計画は、マイホーム購入までにある程度のめどをつけておかねばなりません。無計画に、住宅への夢をすべて形にしようとすると、いくらお金があっても足りません。また、住宅ローンを向こう数十年にわたって返していけるのかという、漠然とした将来への不安もあるでしょう。
しかしマイホーム購入は、その後の人生をおおむねその家で過ごすことになる、人生の大切な選択です。できるだけ賢くお得に、かつ将来性のある場所を選ぶことで、意外に節約につながることもあります。
着眼ポイントは、住まう住宅そのものではなく、マイホームを建てる立地です。
○将来性を見極めてマイホーム資金を節約
家の形は希望を叶えるためにプランニングすることで、比較的容易に実現できます。広さや高さ制限などの敷地条件によりますが、快適性や利便性は、間取りの変更など柔軟に対応できる設計士やプランナーに設計・リフォーム依頼することで解消できるでしょう。ただ、立地は一度住宅を建てれば変更は効きません。
●マイホームの建築場所を自分基準で選ぶ
巷でよく聞く「人気エリア」や「落ちついた生活環境」などの好評エリアは、土地購入費が必然的に高くなります。確かに、人気のある場所にはそれなりの理由があってのことでしょう。しかし、実際に生活する上で自分たち家族が納得のいく環境が整いさえすれば、人気や評判は関係ないでしょう。
どの場所に住むかによって、生活スタイルは大きく左右されます。将来の家族の住まい方と生活を現実感をもって選ぶと、注目度が低くて意外に地代の安い場所に良さを感じるかもしれません。そして、人気や情報に振り回されずに自分の目で条件を絞っていくと、土地購入費の節約を実現できるかもしれません。
●今は不便 でも将来性のあるマイホーム立地
周辺環境の整備と公共機関路線の条件は、土地購入費と大きく関係があります。現在整備されている条件をもとにして、その土地の価値が決まり、価値が高いと判断する条件によって価格も大きく変動します。
現状の条件にさほど良さを感じられない土地こそ、購入費を節約できるポイントがひそんでいます。例えば、「駅に近い」立地条件から、「徒歩8分程度」の立地条件に広げてみましょう。駅までの距離に着目すると、おおむね徒歩8分を境に土地・マンションの価格が一気に下がる傾向があるのです。
住み続けるうちに市街地開発も進むでしょう。駅近くの立地では、開発が繰り返されるたびに路線価が上昇し、のちの固定資産税にもかかわります。反面、駅から離れた場所で、同様の整備開発が進めば、住まいやすさレベルが上がる期待感があります。
土地代が節約でき、将来的に満足度が上がる立地を自分の基準で選ぶ。将来的に見込まれる満足度を先取りして土地を購入する。これが、生活空間を妥協せずに購入代金を節約できる立地選びのポイントでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】