マイホーム購入時にかかる費用は一括で払うべし

住宅ローンが超低金利時代といわれ続けていますが、各金融機関でも様々なプランや借入タイプを商品化し、貸付をあっせんしています。

金利が低くなったとはいえ、借り入れたマイホーム購入費は支払わねばならない借金です。消費税増税を目の前に、(とはいっても増税は景気動向から先送りされてきましたが)住宅着工や中古住宅の取引もこれからさらに白熱していくでしょう。
増税をみこした「すまい給付金」などの特例措置もありますが、元金が数百万、数千万単位となれば、やはり増税前に住宅購入を前向きに考える人の駆け込み需要も容易に想像できます。
しかし、まとまった貯金もなくフルローンでマイホームを購入するのはあまりお勧めできません。

○自己資金とマイホームローンのバランス
マイホーム探しはいろんな条件をもとにして、それぞれの折り合いがつくところを決定するのが非常に難しいものです。
ほしい家が見つかっても価格に納得がいかない。住まいの拠点としたい場所に良い物件がない…納得のいくマイホームを手に入れるには、タイミングと決断力が決め手です。

●マイホーム選びの基準をどこに置くか
住む場所や家の広さ、間取りに外観など、マイホームへのあこがれや理想は上げればきりがありません。そして、上を見れば見るほど良く感じてしまうのも仕方がありません。
そこで、何を基準に上限を定めるか。やはりわかりやすいのはマイホーム購入資金でしょう。広さと間取りはともかくとして、家の雰囲気や住む場所は、明確に良しあしを判断する材料になりえません。購入欲に歯止めをかけて、冷静に判断するためにも、購入資金の上限をあらかじめ決めておくことが大切です。

○マイホーム購入資金をどう決める?
では、実際に自分がどの位の金額をめどに購入資金を決定したらいいのかという問題ですが、やってはならないのは「融資上限額」で判断すること。これは「あなたにはいくらまでなら融資できますよ」というマックスの金額です。「これくらい借りられるなら…」という判断をしては、購入後の生活が危ぶまれます。
理想的な資金のめやすは『現在の賃貸家賃』程度の返済額です。
家のためなら多少の無理も仕方ないと、購入前から生活を切り詰める発想をしていては、購入した後の返済と、生活のやりくりが非常につらくなります。また、単純にもののねだんだけで住宅購入を決めてしまうと、土地建物にかかる税金その他手数料などの、見えない費用をねん出することができません。

●マイホームにかかる税金は一括払いで
物件を購入してどれだけの税金がかかるかをまず知っておきましょう。購入までに発生する税金に、消費税のほか登録免許税、不動産取得税、書面添付の印紙税があります。消費税は物件に応じて異なりますが、そのほかの税金だけで50万円程はかかるものだと心づもりしておきましょう。
最近では、住宅ローンにこれらの税金分を上乗せして審査をすることができる金融機関も増えてきました。ただし、50万円程度のローン上乗せ分を20~35年かけて返済していくときに、元金と合わせてどれほどの利息を払うことになるか、現実的に計算をしてみてください。
この税金を頭金と考えて一括で払っておけば、住宅ローン返済総額が100万円単位で安くなる可能性があります。目先の資金不足を住宅ローンでカバーすれば、完済した時にひと財産程度余計に金利を支払うことになってしまいかねません。

○マイホーム本体以外は一括で払うのがベスト
税金に限らず、引っ越し費用や家電家具、インテリアなど、新居に必要なものは続々と出てきます。物件本体以外の費用を、大きな借金となるマイホーム融資にわざわざ加算して、高い金利を払うことはないでしょう。住宅ローン借り入れは、全体総額の8割程度にし、2割を自己資金にすべしといわれているのがこの所以です。
一括で払えるものは、都度きちんと清算し、住宅本体価格の融資に限りなく寄せていく資金計画が実現できれば、生活を始めたのちの急な出費やライフステージに沿った必要費を健全に準備することができるでしょう。

【著  者   長 岡  利 和】


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