賃貸アパートなどに住んだことがある人は、隣近所の出す騒音(ならまだしも、生活音まで聞こえることも珍しくない)に悩んだり、遠慮しながら生活したという思い・経験があるでしょう。
一戸建て住宅を購入すれば、よほど隣接している条件下でなければ、となりの家が出す生活音が自分の家の中で響き渡るということは無いでしょう。
ただ、家族で生活をしているその家の中で、「二階の子ども部屋で子供たちが大暴れ」「階段を降りる音がいちいちうるさい」など、衝撃音がきになることがあるかもしれません。
家のなかで感じる衝撃音は、その空間の満足度と快適度を下げてしまいます。この衝撃音と、住宅建築基準にある耐震等級に関係があるということはご存知ですか?
ゆったりとした我が家で、大きな音も響かず快適に過ごせる環境。これが満足度を高める一戸建て住宅の条件のひとつと言えます。
○一戸建てで発生する衝撃音の種類は2つ
通常は、騒音のなかでも人が話すような音ではなく、ものに当たる・動作から出る音に意識が行きがちです。その騒音レベルは音が伝わる振動数と大きくかかわります。
●軽量床衝撃音とは
家のなかで想定される「ものが関係して出す音の響き具合」で、食器を落とす、椅子を引きずる、スプーンを落とすというような高周波数のものを、軽量床衝撃音といいます。こつんという音に例えられる程度の音です。周波数は125~250Hz。
このワンランク上の周波数250~500Hzが人の会話音ですので、人の会話よりも低い音は衝撃音として意識し、耳についたり驚いたりするのかも知れません。
●重量床衝撃音とは
一階のリビングでくつろいでいるところに、二階からドスンドスンと響くような音がする。このように歩行や飛び跳ねなどの低い衝撃音や、洗濯機が回っているときの振動のようなとどろく音を、重量床衝撃音といいます。ドダン・ドスンという重たい音の響きで、振動数は63~125Hz程度です。
○響く音の遮音性能とコンクリート
日本建築学会の基準として「遮音性能の指標」が公表されていますが、重量床衝撃音(単位LH)と軽量床衝撃音(単位:LL)にはそれぞれ特級~3級までの水準が数値化して設けられています。
数値が低いほど遮音性に優れている一戸建てということを意味します。
この数値とレベルは、各構造のスペックによって異なり、設計図で確認することができます。遮音性とコンクリート板の厚さも、住宅内の衝撃音にかかわりますが、20センチメートル以上の厚さがあるほうが望ましいとされています。
一戸建てに住まい始めてまでも、家族の出す足音や生活のなかで出る音に気を使いたくはありませんね。にぎやかな人の会話は望ましいですが、生活音に悩まないためにも、構造スペックを記載した設計図を確認するとよいでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】