住宅購入をするとき、どんな家に住みたいか、という理想の住まいや暮らし方を考え始めると、どんどん費用がかさんでしまいます。
理想をすべて積み込むことができれば、満足度100パーセントの住宅を手に入れることができるでしょう。しかし、そのような買い物を簡単にできないのは、何十年と続く支払に対する不安、そして完済までの道のりの長さが理由でしょう。
借りられる額=購入額、と考えるのはタブーです。銀行等の融資金融機関は、実際にどのようなライフサイクルで、家計表や他のローン残高を見て生活支出のアドバイスをするわけではありません。
あくまでも融資限度額がいくらです、という現在の就労状況と年齢、これまでの銀行取引の結果をもって算出しているだけのことです。
○現状の収支と年収から一戸建て購入返済計画を
借りたお金は、返さねばなりません。これは社会通念上当然のことですが、ことに住宅ローンの場合、「銀行が貸してくれるというんだから、これは自分たちで返せる金額なのだろう」と、融資限度額を家計の基準にしてしまう人も多いように感じます。
これは、金融機関が信用によってお金を貸してくれる、という融資審査をパスすることの意味を、過剰に評価している人が多いということではないかと思います。
●住宅ローンの限度額算出方法
住宅ローンの限度額は、一定の計算式によって算出されます。計算式には、100万円あたりの毎月返済額と毎月返済限度額が関係します。
毎月返済限度額は
(年収 × 割合(金融商品により、また返済期間と金利による)-その他のローン年間返済額)÷12
で計算します。
割合の部分に入る数字は、どの金融機関でも、審査を受ける人の年収に応じて年間のローン返済額の占める割合限度を決定します。
●無理のない一戸建て購入費返済は自己管理で
前述した計算式を見ると、その年収に応じて、また他のローン返済額を考慮した「限度額」が基準となり、これから借入「限度額」が決定します。
すべてが限度(ぎりぎり)の額ということをまず、きちんと意識しておくことは非常に大切です。これが、借入可能額はすなわち限度額。
一戸建てを購入して満額融資を受ければ、金融感が想定するぎりぎりの生活を返済期間中ずっと繰り返す…という意味と考えれば、それがどれだけ不安定なものか、想像がつくでしょう。
○現実的な資金計画から一戸建ての購入費を試算
一戸建てを買えば、ローンの返済以外に固定資産税、住宅修繕費などの生活そのものを維持するお金に上乗せして必要になります。実際の住宅購入にどれだけお金をかけられるかを考えると、思った以上に少ない金額になるでしょう。
現実的には、年収の25%以内の返済額で抑えることができれば、それまでの生活と大幅に変わらず過ごすことができるという説があります。
理想に終生高いお金を払い続けるよりも、日々の生活のスタイルを変えずに一戸建てを持てるほうが、心身共に健全でストレスなく過ごすことができるように思えます。
【著 者 長 岡 利 和】