世間で良く言われるように、現状は金融機関で住宅ローンの融資申込みを行うと、過去に例を見ないほどの低金利で借入をすることが出来る可能性があります。
消費者にとってこれは非常に望ましく、これまでマイホームなんて考えもしなかった世帯も、「低金利だし」といううたい文句で、現実的なマイホーム購入を検討するきっかけになっているかもしれません。
ただ、頭金なしで住宅を購入することは出来ますが、これと低金利を一緒に考えてしまうのは非常に危険です。同じお金にまつわる話ですが、「低金利」と「頭金なし」を同時発想で考えずに、別々の資金計画としてそれぞれをしっかり検討する必要があります。
○頭金なし。の考え方
頭金なしでマイホームを購入するということからまず考えてみましょう。あなたの計算上で、頭金と諸費用は一緒のものでしょうか。それとも別に考えているでしょうか。
本来なら、頭金は「マイホームを購入する本体価格(住宅ローン融資を受ける本体価格)から差し引きする額」となるものです。以前は住宅ローンの借入を申請する際、満額借入は出来ませんでした。自己資金1割が当然のごとく必要だったのです。
現在は、金融商品の種類も増え、どの銀行も満額融資を全面に打ち出し、借りやすさをアピールしながら、保険や他ローン金利の優遇などサービス拡大を行っています。また、印紙や契約にかかる実費(諸費用)も貸付を行う金融機関まであります。
自己資金0と頭金なし、は、その借入額と返済金額に対する考え方がことなるという事を踏まえて、返済可能な金額を計算する事が大切です。
○低金利だからという考え方
金利が低いうちにローンを組んで、長らく低金利の恩恵をうけるのが、購入額が大きくなるマイホームの場合は特に有利でしょう。これは紛れも無い事実。
ただ、現在金融機関の店頭で1パーセントを切るような金利のアピールをしていることを理由に、自分たちもその金利で借りることが出来るという思いこみもまた危険です。
おおむね、超低金利で出てくる数値は、その金融機関の最低金利、すなわち変動金利の場合がほとんどです。おなじ金利で35年ローンを組むことは出来ません。
変動金利がお得!というだけでローンの商品を検討することなく借入契約をすると、半年ごとに支払金利が切り替わるタイミングで、月の返済額が1万円以上高くなると言うことも現実にあり得る話です。
今後住宅ローン金利が急騰して、仮に数パーセントか上昇したとします。元金均等なら確実に元本が減りますが、元利均等で借入をした場合、利息分の返済ばかりで元金が減らず、返済額とバランスによっては、金利も返済額では足りずに借金が増えていくという恐ろしい事態もあり得ます。
お金は借りたら返すもの。出来るだけ借入を少なく、短い期間で返済することと家計を現実的に考える事が大切です。
【著 者 長 岡 利 和】