低金利のローンは、どんな商品を購入するときにも魅力的に感じるものです。金利が安いから今のうちに買ってしまおう…という購買意欲をくすぐるきっかけにもなります。
ただ、金利は常に変動するものと、完済するまでずっと固定のものがあります。変動金利のローンを選ぶときのメリットと注意点を考えて見ましょう。
〇金利が安い=返済金額が少なくなる
住宅などの大きな額面をローンで返済するときは、その金利分返済額も大きくなるのは想像がつくでしょう。ローンとは言い換えれば借金。
借金を返しながら上積み分の金利も紹介していかなければならないことをまず念頭において、返済の方法と金額、返済期間を考えるべきです。
〇変動金利の見直しは6ヵ月ごと
毎月の金利変動動向を金融機関が発表しますが、実際に住宅ローン返済が始まったらその金利は6ヶ月ごとに見直し・適用します。毎月こまめに変化するわけではありません。
●今は金利が低いけど…借りすぎには注意
近年、あらゆる金融商品の金利がのきなみ下落を続けています。かつてないほどの低金利で住宅ローンを組むことができるため、これを機に!とマイホーム計画を実行した人も多いでしょう。
ただ、変動金利はいつどのタイミングで上がるか、世の中の情勢や景気によって大きく左右されます。何にせよ、「金利が低い」という理由で借りすぎるのはよくありません。
〇複雑な変動金利システムのデメリット
半年ごとに金利が見直されるといっても、その返済額が突然半年後から変わるわけではありません。変動金利型には返済のルールがあります。
●途中で金利が変わっても5年は一定返済
金利が変わっても、返済額は当初5年間変わらず、5年ごとに見直しがされます。しかも元額の125%を超えない範囲で返済額を見直すという決まりごとがあります。これが非常に危険だということを知っておくべきです。
●見直し年に注意するのは「借り入れ総額」
変動金利で5年ごとに月額返済額の見直しをすると、その間に金利が上昇していたら、返済額の中の金利分割合が大きくなるということを覚えておきましょう。
ということは、肝心の借り入れ元本が減らないということを意味します。実際に金利分がいくらで元本がどのくらいへっているかがわかりづらいので、返済額管理に注意が必要です。
●金利上乗せ分の未払いが増えている?
仮に金利が上昇し、元返済額の125%を超えない範囲で毎月返済を繰り返していたとしても、急激な金利上昇があったとしたらどうなるでしょう。この場合、返済額以上の金利となる可能性があって、そこで払いきれなかった金利分は「未払い利息」として残っていきます。
5年後の見直し時、にこの間の未払い利息清算を求められることもあります。
変動金利が低いというのは、そのつど金利が変わるかもしれないというのが魅力でありリスクにもなります。下がり続ければお得ですが、金利上昇はローンの完済そのものを揺るがすことにもなりかねません。今の超低金利が数十年続くとは考えづらいので、リスク対策を検討しながら上手に返済をしていくべきでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】