住宅ローンの仕組みは実に複雑で、一度説明を聞いてもそのすべてを理解できるほど簡単ではありません。「なんとなく話を聞いてみたけれど、結局良くわからずにイメージで固定か変動を決めてしまった…」という人もいるのではないでしょうか。
そこで、変動と固定の住宅ローン、どちらを選ぶのが得策かを、借り入れ資金や返済計画の見通しとともに分類して考えて見ます。
○住宅ローンのタイプと特徴
よく知られている住宅ローンのパターンは主に三つ。変動金利型・10年固定金利型・全期間固定型です。
金融機関の店頭でよく見る住宅ローンの金利数値は、もっとも低いものを表示して、ローン審査申し込みを狙うのが通例です。表示されたその時々の金利が、あらゆる返済プランに適用されるわけではありません。
●低金利の変動型 リスクも合わせて考える
公開表示される各金融機関の金利に忠実なのは、変動金利型です。これが、もっとも低金利で住宅ローン借り入れを行うことができるものになります。
ただ、最も低い金利で借り受けるためにはそれなりのリスクが伴います。
金利上昇です。金利引き下げが続いていますが、これが景気の回復と国の経済政策、市場動向によっていつ上昇に転じてもおかしくありません。そして、金利が上昇すればその金利に沿って、6ヶ月ごとに返済計画を見直す必要があります。購入額にいくら金利が上乗せされるかが常に不明の状態を完済まで続けていくことになります。
ある程度の預貯金を残して、頭金を多く準備できる人(相対的に借入額が少なくなり、短い期間で完済が見込める人)は、低い金利の恩恵を受ける選択もアリでしょう。そして、金利上昇の動きがはっきり見え始めたら、早めに固定型にシフトする準備ができる人は変動金利で申し込んでもいいのではないでしょうか。
●10年固定金利型 一定の安心と将来設計を同時に
10年固定型は、住宅ローンの中でも変動と全期間固定の間を取ったハイブリッドローンといえます。変動金利にわずかな上乗せをして、10年間は比較的低いローン返済額をキープすることができます。
しかし、10年を超えるとその後は変動金利型と同じ扱いになるので注意しておきましょう。10年たったら、一度借り換えを検討して「さらに固定型を続ける」か、また「その時の動向で変動を維持するか」を見直します。
●全期間固定型 完済まで安心感を得る
保証料や上乗せ金利はあるけれど、「完済までにどのくらい返済するのかをわかっておきたい」という人に向いているのが全期間型です。
一定しているという安心感は他のプランでは得ることができません。しかも全期間変わらないので、頭金が少なくて借入額が多い人に適しています。なにより、当初から返済定額でトータルの返済額がはっきりとわかるので、住宅ローンで後に悩みたくない人にもお勧めです。
○まとめ
それぞれの金利プランにメリットまたはデメリットがあります。ご自身の収入と返済額、ライフスタイルに応じて、返済可能な金額を探りながら自分に合ったものを選ぶようにしましょう。