マイホームを買うときに、どのような費用がかかるかをすぐに想像することができる人は、そうそういるものではありません。
これまでに住宅購入や処分を経験したことがある人ならばともかく、自分が所有者となってはじめてマイホームを購入する場合は、その必要な手続きや出費も初めてのことだらけです。何がどんな順番で何をしなければならないかが、最後までよくわからなかったという人もいます。
近所の量販店や専門店でものを購入するのと同じように、もの(不動産)の価格のみですめば何も問題は起こらないのですが、土地建物の購入には、さまざまな費用がかかります。
この費用を見落とすと、住宅ローンの返済が困難になる・預貯金を切り崩して工面するという金銭的危機を感じる羽目になります。
費用はおおむね現金での支払いとなりますので、ここはシビアに現実的な額を想定しておくほうが良いでしょう。
○物件と住宅ローンの費用は別に考える
必要な費用の項目は重複するものもありますが、購入する物件と住宅ローンそれぞれに費用がかかるので、住宅とローンの費用は別に考えておくほうがいいでしょう。求められるタイミングも異なりますので、必要なときに現金で支払えるようにあらかじめ準備しておかねばなりません。
●住宅にかかる諸費用は
マイホーム購入の契約をするための契約費用(契約書の印紙代)、物件の所有を主張するための登記費用(土地建物の登録免許税と登記依頼費用)、不動産にかかる税金、仲介会社を利用した場合の仲介手数料が必要になります。
登録免許税や不動産取得税、仲介手数料は、物件購入価格や固定資産税評価額によって変動しますので、あらかじめ試算をしてもらっておいたほうが、支払いもスムーズに済みます。
●住宅ローンにかかる諸費用は
ローン申し込みの契約費用(契約書の印紙代)、ローン会社の抵当権を設定するための登記費用(抵当権設定費用と登記依頼費用)、融資事務手数料、ローン保証料、物件調査手数料(フラット35の申し込みや中古物件の場合)などが諸費用としてかかります。
融資事務手数料は、各ローン会社によって異なりますし、ローンの種類によっては保証料を別途必要としないものもありますので、審査申し込みの際にしっかり確認をするようにしましょう。
諸費用は、購入する物件価格や中古・新築の別、固定または変動金利ローンなどの条件によって大きく変わりますが、新築の場合は物件価格の3~6%、中古なら物件価格の6~9%がおおよその目安となります。
ローン頭金のために貯金をした、親族から援助をしてもらう、という人もいるでしょうが、預貯金すべてをマイホームの頭金にしてしまうと、これらの諸費用やもしもの事態への備えが不十分になることも考えられます。意外と見落としがちな諸費用を、きちんと手元において置くことを忘れずに。
【著 者 永 岡 利 和】