住宅や土地などの不動産を購入すると、消費税(土地は消費税対象外)のほかに多くの税金が課税されます。物件購入で発生する税金は結構な総額になるものです。しかし、かかる税金があれば取り戻すことができる税金の控除があることも知っておきましょう。
そのためには、確定申告をして所得税の還付を受ける必要があります。
○住宅ローン減税とは
正式名称は「住宅借入金等特別控除」。さまざまな税額控除が日本の税法で定められている中のひとつです。一般的に多いのは確定申告を擦る際に控除項目の控除額を差し引きして、所得税の計算を行うというものですが、住宅ローン減税は少し仕組みが異なります。
いったん給与などの収入から所得税を計算し、納めるべき所得税額から控除分を差し引くという流れになります。いったん納付した所得税を取り戻すと考えればわかりやすいでしょう。仮に、所得税納付額から受託ローン減税額を差し引きし切れなかった場合は、市民税からひかれることになります。
○不動産購入で納めるもっとも高い税金は?
住宅などの不動産を購入する際に最も高い税金は消費税です。5%から8%に消費税率が上がる直前に、高額商品の中でも住宅の駆け込み購入が急増しました。
土地取引の場合は消費税非課税ですが、数千万円の物件の8%となると、数百万円ほどが税金ということになります。住宅ローンの中に消費税が組み込まれるため、住宅購入費の中に埋もれがちですが、これ以外にも固定資産税や不動産取得税、登録免許税などが数十万円ほどかかると考えておきましょう。
○住宅ローン控除の申告条件は
マイホームを購入したすべての人に対して、平等に控除申告ができるわけではありません。住宅の大きさや控除を受ける年の所得税金額、収入とローン残高に応じて税金の控除申告対象であるかどうかが決まります。
●税金控除対象となる条件は
まずは床面積が50平方メートル以上であること。そして中古住宅の場合はプラスして築年数20年以内という条件がプラスされます。(耐火建築物なら25年以内)。
そして、長期優良住宅や低酸素住宅などの認定をうけた物件の場合は、控除額がアップします。
ただし、所得3000万円以上の人はこの控除を受けることができません。年収と借入額に応じて控除額が決定しますが、試算上は高収入で高借入額の人ほど控除額が拡大する仕組みになっています。
●控除でどれだけ戻ってくる?
年末の借入残高の1%を上限として、最大10年間、毎年の所得税から控除を受けることができます。給与所得者の場合、購入初年度分のみ確定申告を行えば、2年目以降は企業でおこなう年末調整で申告が可能です。
住宅ローンの控除申告をすれば、10年間は継続して控除を受けることができます。ただ繰り上げ返済など条件が変われば税金の控除額も変わる可能性があります。
ただし、控除が受けられなくなることに縛られすぎてもいけません。税金を取り戻すか、または返済額をトータルで押さえるために繰り上げ返済するか。これはシミュレーションをしてどちらが得になるかを検討したほうがいいでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】