熊本・大分の大地震から早一年が経過しました。時間がたつのは早いもので、まだまだ震災の被害が日常生活に残ったまま同じ時を過ごした方々もいることを思うと、一刻も早く元通りの生活が送れるようになることを願ってやみません。
毎日を当たり前に過ごしていると、どうしても危機意識は薄れてしまいます。大震災を教訓に、発生直後は「うちも住宅の改修や耐震強化を考えないと…」と思っても、いざ申し込みや見積もり、話し合いを持つ時間を割くとなると、途中で頓挫してしまいがちです。
○耐震工事を行うと特別控除で税金還付が
長くマイホームで生活していると、時間の経過とともにいろんな箇所をメンテナンスする必要が出てきます。
中古住宅を購入して住んでいる人は、新築当時にどのような設計がなされていたか、確認を十分にできていない場合も多いようです。そこで、必要な耐震工事が仮に発生したとき、住宅ローン減税と同様に、税金の還付を受けることができる制度があります。
○住宅耐震改修特別控除の利用を
この税金還付を受けるためには、まず事業者ではない「個人が、自分の住まう家屋を取得し、その家が昭和56年5月31日以前に建築されたもの」に限られます。
昨今の低金利時代に、格安の中古物件をリノベーション目的で購入したという人もいるでしょう。内装や間取りの変更とおなじく、耐震強度を確認して対象であれば積極的に耐震改修を行うことをお勧めします。
●耐震工事の税金特別控除 適用条件は
前述した築年に加えて、いくつかの適用条件がありますので、併せて確認しましょう。
まず前提として、居住者(国内に住所があり1年以上居住している人)が住宅耐震改修を行う、もしくは非居住者(居住者以外の人)が平成28年4月1日以降に改修工事を行った場合に適用されます。
1 昭和56年5月31日以前に建築された住宅であること
2 地震に対して安全性の向上を目的に行う、増改築、修繕または模様替えをした家が、現行耐震基準に適応すること
が条件です。なお、①に関して2戸以上の住宅を所有している人は、主たる居住家屋に対してのみ適用可能です。
○住宅ローン減税と併用して税金の還付を受けられる
この耐震改修工事にかかる費用をローンで返済するときは、いずれの要件も満たしている場合に両方の適用を受けることができます。
ただ、平成26年4月1日以降に、耐震改修が必要な住宅(建築後に使用された家屋で耐震基準に適合していない一定家屋)を取得した場合は、一定要件をみたしていれば住宅借入金等特別控除の適用を受けられますが、この場合に住宅耐震改修特別控除を合わせて受けることはできません。
諸条件はありますが、築年数が経過した中古住宅を購入した人や、一部耐震基準を満たしていないことが判って不安に感じている人は、この耐震改修特別控除の条件を満たすかどうか調べてみると良いでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】