住宅ローンを申し込んで家を購入するということは、金融機関に借金をして、貯金を待たずに買い物をするということを意味します。他の借り入れと比較すると金利は圧倒的に低いですが、何せ借入額の大きさから考えれば、一財産に値するほどの利息を金融機関に納めることになるという現実を、まずは踏まえておきましょう。
○借り入れの限度額=借り入れしてもOK ではない
住宅ローンの審査で金融機関が実際に注目するのは、その人が継続的に収入を得ることができる人か、借り入れをすることに対して返済が滞りなくできる人かどうか、です。現在役職や重要ポストに就いて働いているサラリーマンや、安定した収入を得ることができると思われる公務員は、その返済能力と収入安定度が高く評価されて、借入限度額も大きくなります。
●借入限度額はその人の信用度換算
ここまでならあなたに融資することができますよ。これが借り入れ限度額の意味です。限度額を見て、「もっと理想に近い家が手に届くんじゃない?」と気分を高揚させるのは間違い。
貸付限度額は、審査対象者に対して現状を審査した結果の最大信頼度を表しているだけ。融資は実際に可能かもしれませんが、極度額ぎりぎりで借りてしまうと、仮にサラリーマンを続けられなくなった時、一気に家計が破綻してしまいます。
あくまでも今の仕事と人に対する信用を元にした数字であって、その額が返済可能稼動かは借りる人の判断にゆだねられていることを忘れてはいけません。
○住宅ローンは短く借りて早く返す が鉄則
最長35年の期間を返済に充てることができる住宅ローンですが、契約上がその期間というだけで、早く返済することにペナルティはありませんし、むしろ早めに返せるときは返してしまったほうが、総返済額を大きく減らせます。
●繰り上げ返済で元本を減らす 住宅ローンを早く完済
長く細く返済を続けるほうが、家計に負担なく生活できるのは事実です。ただ、長くなればその分利息を多く金融機関に上納することになります。
毎月の住宅ローン返済額は負担に感じない程度にして、こまめに返済するための貯金を別立てしておくというのもいいでしょう。数十万円単位で繰り上げ返済ができる金融機関もあります。手数料等を加味して、一定額たまったら繰り上げ返済する、というように決めておくと、元本をぐっと減らすことができます。結果として利息分支払いを大幅にカットすることができますよ。
ライフステージやもしもの場合に備えて、預貯金はある程度必要になることもあるでしょう。
しかし、数千万単位の借金を減額するほうが、目先の数万円貯金より将来的に大きなプラスを得ることになります。毎月の返済額に無理をせず、なおかつ総返済額が少なくなる借り方を考えるようにしましょう。
【著 者 長 岡 利 和】