消費税が上がる、上がるといわれながらも、その上昇がなかなか現実にならないのは、これまでの不景気がもはや当たり前になってきた消費者が多くなり、全体的な節約志向が続いている生でしょうか。
好景気を知らない世代・ゆとり世代など、世代別でその時を過ごした人たちの人生観や価値観が評価されることがあります。しかし、「昔はよかったよね」と、過去のバブル期を懐かしむ世代の人たちは、現役世代の中で完全に少数派に転じています。
現在の働き盛り中心世代は超氷河期といわれる時期の人たち。または、氷河期の苦労が恒常化してそれが当たり前の世代です。
○先のリスクと備えに敏感な世帯主世代
昔の華々しい好景気を懐かしむ世代の人たちは、老後を快適に過ごしやすくするための住宅大改装や、二件目への移り住みを考えはじめる頃でしょう。老後資金のために、アパート新築を検討して、経営に乗り出すのもこの世代。
30代後半から40代に多い、氷河期経験者(今の働き世代)は、将来への不安を常に考えながら仕事をし、収入を得るという発想が根付いている傾向があります。
この二世代それぞれが、まさに消費税増税を目の前にしてマイホームを買おうか否かと悩んでいることでしょう。
○消費税が上がるとマイホームの価格は…
消費税が上がる!と聞くと、「出費が大幅に上がる」というイメージがありませんか。毎日の食べるもの、着るもの、利用するサービスから住宅に至るまで、ほぼ全てのものが2%セントずつ価格底上げされます。
膨大な負担…と想像しがちですが、冷静になって考えて見ましょう。仮に3000万円の本体価格住宅を購入したとき、現在の消費税8%なら3240万円ですね。これが10%増税施行後になると3300円!…。その差60万円ですね。
もちろん、日常生活の中で60万円貯金するとなると相当な節約をしなければならないように感じますが、20~35年かけて支払う住宅の価格が総額60万円高くなる、ということを理由にあせって購入する必要もないように感じます。
○増税後の頭金としてマイホーム資金にする方法も
増税による差額の数十万円程度を、増税後に購入するマイホーム資金の頭金として準備するという方法もあります。増税後に購入する負担を減らす目的で、さまざまな制度(減税や還付)も出てきそうです。
●贈与税の非課税枠拡大 増税後がおすすめ
住宅購入による贈与(親や祖父母からの資金援助など)の非課税枠が、大幅に広がりを見せています。今後新たな制度が出てくる可能性もありますが、これらは増税を見据えた駆け込み需要がおこった後に、買い控えが続くことを懸念した先手ともいえるでしょう。
消費税が上がるとなると、すぐに出費を抑えたいという節約欲が沸きます。ただ、冷静に計算してみると、数十万円の差額なら、プランの変更やローンの吟味でカバーできるかも知れません。
終生一度の買い物になるかもしれないマイホームは、増税の前でも後でも、自分のタイミングで決めるのが一番ではないでしょうか。その時々に利用できるサービスや制度を上手に活用して、お得に賢く満足度の高いマイホーム作りを優先しましょう。
【著 者 長 岡 利 和】