消費税増税、超低金利時代…。マイホームがほしいと思っている世帯にとって、「買うなら今だ」と思わせるニュースや情勢が続いています。
これまでに、マイホームについていろいろと考えをめぐらせて、計画を立ててきた人にとっては絶好のタイミングかもしれません。
しかし、世の中の流れに乗って、きちんと計画をしないままに勢いで住宅を購入すると、後の生活(特に老後)に大きな支障をきたすかもしれません。
○勢いで無計画に住宅ローンを組まないために
「マイホームを買っておいたほうがいいんじゃないかしら?」とぼんやり考えるタイミングに、①周りの知人が住宅を購入した ②住宅ローンの優遇を銀行で薦められた ③新聞等の折り込みチラシで魅力的な物件を見た などがあります。このような経験をしたことはありませんか。
●結論を急がず将来と老後を想像する
得だから。今がチャンス…。といううたい文句は、今の低金利住宅ローン時代に限ったことではありません。常になにかを魅力的だと感じさせ、新たな欲求を引き出す言葉だということを忘れないようにしましょう。
今だ今だと気持ちが急くと、人は思わぬ決断をしてしまうことがあります。住宅購入もそのひとつで、金利が低ければ「多少額面が大きくなっても返済できるだろう」「住宅ローン金利が低い分、家本体に投資しよう」という考えにいたりがちです。
●老後の資金がいくら必要なのか
確かに、住まいにかかるお金の負担が無ければ、老後の生活にもゆとりが生まれるように思います。ずっと賃貸物件を駆り続ければ、終生家賃が必要になりますし、リタイアした後の老後にずっと家賃を払っていくことのほうが負担に感じるかもしれません。
まず、仕事を退職してから後の生活に、どれだけのお金が必要かをシミュレーションしてみましょう。実際に家賃を払って日常生活を送り続けるか、住宅ローンを返済しながら生活する期間がどれくらいになるのか。比べるポイントはここでしょう。
○住宅ローンを何年で完済する?老後資金とのバランス
住宅ローンの借り入れ(マイホーム購入)から、退職するまでに何年働けるかにもよりますが、住宅資金の上限と、完済する年月、そしてローンの借入金を現実的に想像してみましょう。
ひょんなきっかけから住宅購入を思いたった場合、頭金が0に限りなく近い人が多い傾向にあります。一戸建て住宅の購入年齢は平均で30代後半~40代が多いという統計がありますが、仮に35年フルローンを選択した場合、おおむね70歳近辺まで住宅ローンの返済が続くことになります。
●金利上昇と老後資金の捻出
今は低金利が継続しているかもしれませんが、このまま35年間ずっと低金利のままとは考えづらいでしょう。家があれば、老後にすむ場所への不安はありませんが、現役時代と同じ金額のローンを捻出するのは簡単なことではありません。
残額を退職金で一括返済…とも考えがちですが、その場合、老後の生活資金の大半を失ってしまうことになり、預貯金を使い果たしてしまう可能性もあります。
老後の生活を不自由なく送るための必要な資金計画と、住宅ローン完済までの年月を現実的に想定する。この収支バランスを長い目でみてしっかり計画してから、マイホームの購入を検討しましょう。
【著 者 長 岡 利 和】