数十年という見えない将来をかけて、マイホームのローンを組むことを思えば、その返済期間中にどんなリスクがあるかも想定しておかねばなりません。
特に、住宅ローンの支払いをしている間に、病気や怪我をして働けなくなり、収入が減るリスクは充分考えられます。
もし、長期療養が必要な病気や怪我をして給料が減り、住宅ローンの支払いが滞りそうになってしまったら…。対処とやるべきことをしっかり理解しておきましょう。
○まずは住宅ローン会社に相談を
病気、または怪我は日常生活の中で不意に起こります。健康な状態になるまで充分に療養し、回復することがまずは最優先ですが、「働けないからローンの返済ができない」という理由で放置するのが最もよくありません。
●交渉次第で返済留保や減額も
滞納が続いて、ローン会社から連絡が来るまで何もしないというのは、ローン審査を行って信用を担保に貸し付けた金融機関からみれば、マイナスイメージしかありません。
事情があって返済が難しくなった場合は、その事情から時間をおかずに相談をするのがベストでしょう。
場合によっては交渉に応じてくれることもありますし、借金の返済条件を変更する話を進めることもできる場合があります。
●ローンの特約条件を確認する
最近はローン商品も内容やサービスが多様化しています。なかでも、疾病特約がついた住宅ローンは、返済義務者が特定の病気と診断された場合に、その後の返済が免除されるという、リスクを考慮した金融商品です。
申し込み時にしか特約は付帯することができないので、契約書を確認し、または金融機関に問い合わせをして特約の有無をチェックしてみましょう。
●重度の病気や怪我の場合は団体信用保証の適用も
現在は、住宅ローンを利用する場合、全ての人が団体信用保証制度に加入することになっています。以前は任意契約でしたが、怪我または病気によってローン返済が滞り、家を抵当権実行で奪われてしまうリスクに対処するため、全ての人が加入するようになりました。
不運にも病気の完治が見込めない場合や、事故などで後遺障害の認定がされた場合は、加入している団体信用保証で補填される病症状か否かを確認しましょう。
もし、適用事象ならその後の支払い義務は無くなり、マイホームに住まい続けることができます。
●保険等で収入の確保を確認する
怪我の原因が業務上にあれば、労災で医療費等がまかなわれます。治療の間に会社を休めば、休業損害の申請をすることもできるでしょう。病気・怪我を患って長期の療養をする際は、任意医療保険や生命保険に連絡をします。治療にお金がかかってしまったなら、高額医療費を確定申告で申請しましょう。
怪我や病気が原因で収入が途絶える(減る)場合は、住宅ローンの免除になるか、いかに社会保障制度を利用するか、を考えながら、何事も早めに手続きを行うようにしましょう。
【著 者 長 岡 利 和】