マイホームを買おうとするときには、まず決めなければならないことが2つあります。ひとつは、一戸建てにするか・マンション(集合住宅)にするか。そして二つ目は、どのあたりの場所に住まうか。
この二つが決まってしまえば、後は話がどんどん進めやすくなるのですが、マンションを選べば物件ありき、一戸建てに決めれば宅地探し…と、マイホーム選びのスタートがまったく違います。
時にしっかりとした意思を持って、時に柔軟に対応しながら、自分たち家族全員が快適に住まうことができる場所を整えましょう。
○マイホームの物件を選択の軸にしない
新築マンションの着工数がここ数年もの間、順調に伸びています。オリンピック景気も手伝ってか、建設業界とサービス業は常に人手不足の状態で、高度経済成長期の有効求人倍率に迫るほどだそうです。
新築マンションを見れば、モデルルームはどれも素敵に見えるでしょう。また、増税前の駆け込みを狙った建売住宅の戸数も増えてきています。
●物件ありきの生活を一度思いとどまる勇気を
思い描く理想のマイホームと、非常に近い印象のモデルルームや建売物件に出会ってしまったとき、どうしてもその印象が強烈で「今決めなきゃ」という焦りが出てきます。
実際にショールームや内覧に行くと、購買欲が刺激されて、場所や職場までのアクセル、周辺の環境は二の次にして、購入を急いでしまう気の大きさが現れがちです。
ただし、そのマイホームは賃貸の様に簡単に借り換えや引越しができるわけもありません。まずは、一旦その物件の手付け金を払う前にクールダウンして、マイホームを決める優先順位を再確認しましょう。一晩家で考え直すと、意外と冷静に判断ができるものです。
○通勤よりも候補場所の周辺整備をチェック
マイホームを持った場所から、毎日仕事に出かける姿をイメージすると良い、という話を聞きますし、私も以前同様の内容で「マイホームの選び方」についてブログに書いたこともございます。
ただ、最近の働き方や労働に対する意識と条件を改めて考えてみました。そこで感じたのは、「通勤距離と生活拠点場所を同じウエイトで考える
のがベストではないかということです。
●通勤距離や方面が変わるかも
住まう人が、マイホームを購入した後にどんな生活を送るかを想像すると、自宅から仕事に通う自分の姿をイメージして、移動の乗り継ぎやライフラインの充実が要点となりますね。
向こう数年であれば想像も大きく外れることが無いかも知れません。ならば数十年後はどうか。実際にどうなるかは誰も知る由がありません。ただ、通勤する方向(職場)が変わっていたり、返済中に退職したり、きっとライフサイクルが大きくかわる節目があるでしょう。
●生活しやすいマイホームが第一
通勤主体でマイホームの場所を選ぶと、次の転職先をさがす条件におおきな縛りとなるかもしれません。そして、場所に固執しすぎると、生活しづらい環境を自分たちで選んでしまうことになりかねません。
数十年もの先の話を現在しても、それは全てが想像と理想の形。ならばはじめから場所や立地条件に固執せず、幅を持たせて考えることも必要です。
なかでもマイホームの近所に必要なのは、商品購入(到着)のための店や、ライフラインの維持を任せられる設備の充実です。
交通アクセスがよければ、多少職場から離れた場所でも通勤トラブルは解消しやすくなります。また、日用品や食料を購入するのに、お店があれば便利でしょう。
数十年のローン返済を行う間に、マイホームのある場所の周辺はきっと大きな変化がおこるでしょう。その気づきを大切にして、生活環境を考えながら臨機応変に見て廻ることをお勧めします。
【著 者 長 岡 利 和】