一昨年あたりから、非常に活発な動きをみせているのが「ふるさと納税」。自分が応援したい市町村の財政を助けるための寄付金として導入されましたが、寄付をした自治体からはお礼(粗品?)として、特産物や名産品などをもらえるため、実質寄付した価格よりもずっとお得に利用することができるとして、注目されましたね。
何がいいって、ふるさと納税を利用することでもらえる商品やサービスが豊富だという事に加えて、その本質は納税という名の「寄付金」ですから、確定申告をすれば、税金の控除を受けることができるのです。(寄付金と税法について、ここでは詳しく触れません)
○住宅ローンでも税金が控除されるはず…
家を購入する人なら、この減税措置を知らない人はいないだろうというほど、周知されている納税還付措置が通称「住宅ローン減税」。金融機関等で住宅の購入を目的とした借り入れを行った場合、10年間は所得税(一部控除し切れなかった場合は市町村税も)納税額から還付を受けることができるという制度です(年収や新築・中古の別、物件の広さ、借入額による)。
住宅ローン減税も、払った所得税額のうちから、料率に応じて還付を受けることができるということを考えると、寄付金を行った場合の確定申告と流れや控除への考え方は共通していますね。
○住宅ローン減税とふるさと納税はダブルで申告可 しかし…
一部医療費控除の確定申告等は、併用することができない制度もあるため、注意が必要ですが、ふるさと納税と住宅ローン減税は併用して申告することができます。
ただし、非常に大きなそして単純な問題点があります。
●減税に対する理解をきちんと
減税という言葉を聞くと、一定の税額から安くしてくれるという印象を受けるかもしれませんが、住宅ローンとふるさと納税いずれも行うのは「還付」です。来年から税金が減るのではなくて、払い済みの税金と所得審査を確定申告で改めて、減税措置分をお返しします、というのが還付。
これを、税金が減って控除が少なくなるため、手取りが増えると思い違いをしている人も少なくありません。事実、一年分の収入確定はその年内にできるわけが無く、年明けに処理や計算を行って、前年の年収がはじき出されます。年収額によって、控除割合などが変わりますし、特にお子さんがいる家族構成によっても異なります。
●所得が低い年、人にメリットが薄い
実際に払ったものから返還を受けるので、払った税金が少なければ還付上限も少額になることもお分かりでしょう。
納税額が少なくなると還付上限が引き下がります。併用できるとはいえ、住宅購入をして住宅ローン減税を受けていたら、還付額も数十万円単位となります。自分の収入と納税額に当てはめたとき、住宅ローン減税で還付額に到達する可能性があるときは、ふるさと納税の減税はみこめず、メリットが薄くなるでしょう。
【著 者 長 岡 利 和】